「亮太!」

仰向けに倒れた亮太の元へ駆け寄る謙治。

珠希のマンションにて恭介が目覚めると隣に珠希はおらず
キッチンにてちゃっかり着替えをすませ鈴を眺めてる珠希の姿が。
するとあっという間(約5秒間)に着替えをすました恭介

「すまない 少し寝てしまったようだ」
「いえ。このコーヒーを飲んだら帰って下さい。
 今日の事は忘れて下さい。」

ヤッた途端正気に返る珠希。

「俺はそんな覚悟で君を 君を抱いたわけじゃない」

テーブルの上にあった鈴を手に握りしめる恭介、

「俺は君を 憎んできた
 でもそれ以上に 君を愛している」

鈴を見せながら

「君がこの鈴を持っていたのは恨みを忘れる為なんかじゃないんだろ?」

コクンと頷き

「あなたを愛しています。でもそんな事は許されません。」
「父を殺した事は許せなかった
 でも 君を愛する気持ちもあった..
 この二つの気持ちを抱えながら生きて行く勇気がなかった
 恨む事で君に惹かれている どうしようもなく惹かれている自分から
 逃げようとしたんだ やっと覚悟ができた
 家族に恨まれようと誰に何を言われようと 俺は君を愛している
 君の罪は俺が背負う いや 一緒に背負わせてくれないか?」

ベッドで寝ている亮太、目覚めるとそこには謙治が。
慌てて起き上がろうとする亮太に

「寝ていなさい。入院だ!」
「僕なら大丈夫..少し寝ていなかっただけ..
 入院なんて大げさな事言わないでくれ。」

と謙治の顔を見るが謙治のドヨヨ〜〜ンとした表情で察した亮太

「白血病が再発したとか言わないよね?」
「急性骨髄性白血病の疑いがある..」
「この事は絶対に他の人達には黙っていて下さい。
 僕もあなたの事を黙っていますから。」

ベッドから立ち上がり

「あなたがもしこの病気の事を話したら
 僕もあなたの秘密を公にします。」退室亮太。

マンションにて、鈴を眺めながら亮太の帰りを待つ珠希。
そこへ亮太帰宅。

「お帰りなさい、用事はもう済んだの?ニコリ」
「ニコッ。うん。」

今日の御飯はカレー。一口食べ亮太、

「んん、美味しいよこのカレー。
 一口食べて思い出した。
 姉ちゃんが作ってくれた味だよ。」

とバクバク食べる。

「覚えてる?カレー全部食べたらスイカを食べていいって約束。」
「(笑って)そんな約束してたっけ?」
「明日は何が食べたい?」
「姉ちゃん、この家で一緒に暮らしたいって言った事、取り消すよ。
 もう大人だし姉弟だからって一緒に住む必要ないよ。」

つーか亮太、出て行くのはいいけどさ金あるの?

「恭介兄さんの事好きなんだろ?
 恭介兄さんは姉ちゃんの事、真剣に思ってるよ。
 真剣だからこそきっと気持ちを抑えてきたんだ。
 過去の事で今を不幸にしちゃいけない。
 姉ちゃんが苦しいのは恭介兄さんが好きだからだろ?
 愛し合っているのに嘘をついたら駄目だよ。
 嘘は周りの人間を余計に傷つけるよ。」

ついこの間まで珠希を苦しめてたのは亮太だけどな。
亮太は周りの人間を余計に傷つけたよ。
そしてさ、心配御無用だぜ、亮太!
お前がぶっ倒れた時、コイツらこの部屋で
ちゃっかり一つになりましたから!

「暫く旅行に行きます。全てをリセットしたい..
 約束してくれよ。もうこれからの人生は
 誰かの為とかじゃなくて自分の為に生きるって。」

コクンと頷く珠希を見て亮太も納得し退場しながら

「無理矢理結婚とかしてごめんな、、」
「亮太?」
「ちょっと歩いてくるよ。」退場。

==珠希の幸せを願い亮太が悲愴な思いで出て行ったことを
  珠希は知る由もありませんでした==

加賀見家を訪れた亮太、対応する映子。

「何?話したい事って。」
「七瀬珠希さんを許そうと思います。
 婚姻届は提出していません。
 昔のように姉弟に戻り恨みは忘れる事に..
 七瀬亮太に戻ろうと思います。
 その事を悟兄さんにも伝えたくて今日は..」
「悟も謙治さんも今日は帰って来ないわ。」
「そうですか。じゃあ僕は失礼します。」
「話はまだ終わってないわ。
 七瀬の姓を名乗ると言う事は私は可愛いあなたを
 恨まなければならないわね。」

はいっ??何で亮太を恨む必要があるんです?
七瀬の姓を名乗る人を全員恨むわけ?
映子って意味不明。

「覚悟はしています。」
「それでも愛している事に変わりはないわ。」
「(涙目で)お母さん..」

フラフラフラ〜と倒れそうになる亮太。

「亮太?どうしたの?」
「大丈夫です。風邪です、心配しないで下さい。」

亮太の腕を掴み

「あなたの部屋はそのままにしてあるわ、休んでいきなさい。」
「大丈夫です。」
「休んでいきなさい!亮太!」

加賀見病院院長室に石川教授登場。

「こんな遅くにどんなご用件で?
 亮太をそそのかして下さったおかげで
 後始末が大変な事に..」
「今回の件に関しては心からお詫びします。すいませんでした。」ぺこり

おや?今日は妙に腰が低くなっちゃってるよ?
どうしちゃったの??
笑っちゃうくらいちっちゃくなってるよ!

「理事に招かれた時の条件は亮太君を解任する事と
 この病院を元通りにする事でした。」
「だが医師達はさっぱり戻ってこない。
 いつになったら返して頂けるんですか?」
「返さないのではなく返せないんです。」
「はあ?」
「誰も私の言う事を聞いてはくれないんです。
 あなたを陥れて学部長のイスを手に入れる事が出来た勝因は金..
 金があったから周りの人間を黙らせる事が出来た..
 ですが私は今、裏金の件で追いつめられて..
 だから誰も私に近付こうとしないし
 飛び火を恐れ誰も私に関わろうとしない。
 その挙げ句、、大切な妻を失ってしまうかもしれない。」
「奥様がどうかなされたんですか?」
「拡張型心筋症の手術が失敗した。
 皮肉な事に手術が失敗したその直後に心臓移植のドナーが見つかった..」
「だったらすぐに移植手術をすればいい。」
「(涙声で)誰も心臓移植を引き受けてはくれない。
 私は全てを失ってしまうかも..」

一瞬ニヤリとして

「是非うちの恭介にその手術を執刀させては頂けませんか?」
「加賀見院長!本当に引き受けていただけるんですか?」
「うちの恭介をシュウケイ大の方に伺わせましょう。」
「ありがとう、ありがとう。」ぺこり

にんまり顔の謙治。

朝、加賀見家にて亮太の部屋をそ〜っと開ける映子。
しかし既に亮太はおらず、机の上にメモが。

【僕も、恨まれてもお母さんのことを愛しています。亮太】

正直いい歳して親に愛してるとか言わない。

医局にて珠希&恭介。

「昨日亮太が出て行きました。」

悟、医局に入ろうとするが二人の会話が耳に入り廊下で立ち聞き。

「姉弟には戻るけど一緒に住む必要はないと言って。」
「そうか。」
「恭介さん、お話が。」
「珠希、俺も君に話しておきたい事がある。」

呼捨てに反応する悟。
つーか私も反応しまくりですけどね!
ヤッた途端、呼捨て??吹きましたよ。

「今日仕事が終わったら 時間をくれないか?」
「分かりました。」

廊下で立ち聞きの悟の元へ「悟兄さん。」と亮太登場。
何だか険しい顔の悟。休憩室にて悟&亮太。

「恭介兄さんと姉ちゃんは憎しみを越えようとしてるんだ。」

ショボボ〜〜ン悟。

「だから兄さんも協力してあげてほしいんだ!」

これ以上悟にまだ何かしろと?
尽くして尽くして尽くしまくってるのに
報われてないんだぜ、チ〜ンなんだぜ、悟は!

ショボボン悟、溜め息をつき

「亮太はこれからどうするつもりなんだ?」
「僕だってもう大人..そんなに心配しないでよ。
 僕のした事で病院まだ大変なんだね、ごめんね。」
「僕はこの病院に訪れている危機を必ず救ってみせる。
 お前がこの病院にした事なんか大した事じゃない。心配するな。」

大したことないだと?ガッタガタでしたけど?

うんうんと頷き「それじゃ」と退場しながら

「悟兄さんも体には気をつけてね。」お前がな〜!→亮太退場。

院長室へ向かう亮太、フラフラでしんどそうです。

「この13年、育ててくれてありがとう。
 あなたがいなければ僕は死んでいた。だからもう十分..
 この前の話の続きをしませんか?
 姉ちゃんが人殺しをしたなんて信じられない。
 別に殺した人がいるんじゃないかと..」

謙治か映子か英夫自ら、、の3通りしかない気がする。
その他だったら驚きますよ。

「真犯人がいたとしても刑務所に入って欲しいと言うつもりはない..
 きっと今まで罪を感じて苦しんできたと思いますから。
 ただ、もし姉ちゃんが一生幸せになれないんだとしたら
 僕はどうしてもそいつが許せない。」
「その真犯人をどうしたいんだ?」
「姉ちゃんを楽にしてあげてほしい..真実を話し謝って欲しい..」
「(小さく頷き)そうか。だがな今は何よりお前の治療が先だ。」
「僕は治療は受けません。
 それから絶対に僕の病気の事は秘密にしておいて下さい。
 さもなければ僕がつかんだ秘密を話します。
 僕のせいでこれ以上みんなの人生を狂わせたくはないんです。」

つーか謙治が亮太をこのまま見殺しにした方が
みんなの人生を狂わすと思うけど?

コンコン そこへ映子、恭介、悟、珠希登場。
亮太が来ている事に驚く一同。

「あなた亮太と何かあったんですか?」

白々しくそっぽ向く謙治。

「あなた?」と明らかに不審がる映子につい
「亮太の白血病が再発した。」とバラす謙治。
喋ったな、って顔で謙治を見る亮太。
驚く一同。

「どうして言ってくれなかったの?」珠希

「姉ちゃんに心配かけたくなかった..」
「バカ!何て事言ってるの!
 絶対に治るから心配なんかしないから。」
「せっかく、、せっかく過去から、、恨みから自由になれたのに、、
 姉ちゃん、、、俺ついてないよな、、」
「亮太、あなたの事は私が絶対に助けるから!」

と亮太の手を握る珠希。

病室にて早速点滴して横になる亮太、その傍には映子。

「あんな事をした罰です。僕はきっと助からない。
 もし僕が助かったらまたお母さんに迷惑かけるかもしれないよ?」
「息子に苦労をかけられるのは親の務めだわ。」
「(フッと笑い)息子かぁ。
 お母さん、もし七瀬珠希が犯人じゃなかったとしたら
 恭介兄さんとの仲を許してくれますか?」
「そんな事、、」
「もしもの話ですよ。」
「もしもの話をしても仕方がないわ。
 今は自分の事だけ考えなさい。」

医局にて珠希&恭介&悟。

「骨髄穿刺の結果が出ました。
 血液内科の先生の診断では急性骨髄性白血病。
 抗ガン剤の治療効果は30〜40%、
 骨髄移植が出来ればかなりの確率で生存率が高まるそうです。」
「骨髄移植か。」
「兄弟の間では四分の一の確率で骨髄の型が一致します。
 きっと恭介の骨髄を亮太に移植する事が可能なはずです。」
「早速 俺のHLAの型を調べてみよう
 悟 採血の用意を頼む」

悟&恭介退出。

==珠希はこれまで辛い思いをしてきた亮太と恭介の骨髄型が
  一致しないはずがない、そう自分に言い聞かせるのでした。==つづく==

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