刺された謙治、携帯でどこかに電話。

ホテルの一室にて奥村&恭介

「あなたのご要望にお応えすることができなかった以上、
 これはお返しするわ」と小切手を返す奥村。

「あなたと珠希さんって昔なにかあったの?」
「俺は全てを捨て去ってこの国を離れた
 だから今更昔の事は思い出したくもない記憶だ」
「ねえ、私の退院祝いしてくれない?」

シャンパンをグラスに注ぎながら

「私にも忘れたい過去があるの。
 だからお互いに忘れたい過去に乾杯しましょ。」

一気飲みする恭介。

「余程思い出したくない過去があるようね。」

電話が鳴り出る恭介。

「もしもし ああ私だが 何だって!!」

加賀見病院に運び込まれる謙治。

オペ室へ向かう珠希を呼び止める恭介。

「手伝おう」
「大丈夫です、人手は足りています。」
「行くぞ」
「お願いですから加賀見先生は戻って下さい。
 このオペは私が一人でやります。」
「なぜだ 加賀見謙治だからか
 やはりそうなんだな
 そういう事ならむしろこのオペは俺が執刀しよう」
「執刀医は私です。あなたの仰る通り中にいるのはお父さん..
 だからあなたを中に入れるわけには..」
「どういう意味だ?」
「それはあなたが一番よくわかっているはず..」
「バカな事を言うな そこを退くんだ」
「お願いです、どうか私を信じていただけませんか?」
「君は本当に俺があの男を殺すとでも思っているのか?駄目だ」
「お酒を飲んでいるのね。」
「少量だ 問題ない」
「問題ないわけありません。
 一歩でも中に入ったら私はあなたを許さない。」とオペ室へ入る珠希。

「珠希、、」と呟くオペやる気満々だった恭介。

オペ室にてオペ開始。

オペ室前の廊下にてウロウロいても立ってもいられない様子の恭介。
そこへ悟&映子登場。

「兄さん!父さんは?」
「今珠希がオペをしている所だ」
「珠希さんが、、」と動揺する映子。
「珠希なら安心だ。珠希の腕ならきっと何とかしてくれるはずだ。」
「ええ、、そうね。」
「あの時の事を思い出しませんか?
 24年前のあの日 俺達はこうして父さんの手術が終わるのを待っていました
 そう丁度 この同じ場所で」

昔の事は思い出したくもないくせに思い出しまくりの恭介。

「今でも昨日のことのように思い出せる
 そして手術を終えて出てきたあの男の顔が目に浮かぶ
 すまない と言った言葉のその裏側には 一体何が隠されていたのか
 あの時はまるで分からなかった 珠希は一体
 どんな顔してここから出てくるつもりだろう」退場恭介。

オペ終了、悟&映子&珠希

「幸い命に関わる臓器の損傷はありませんでした。」
「珠希、ありがとう、本当にありがとう。」と抱きつく悟。

医局にて恭介&珠希。

「安心したよ もしかして君があの場で彼を」
「私は医者として当然の事をしたまで..」
「君は強い女性だな
 俺は 君の心を邪推して君を止めようとしたんだ
 だがあの時 俺が中に入っていたら
 本当に自分を押さえきれたかどうか
 アイツが父さんにしたように 俺がアイツを」
「恨みはどこかで誰かが終わらさなければ..
 だから私は私で終わりにしようと決めた..
 もう加賀見謙治を恨む事を止めにしてくれませんか?」
「君は本気で あの男の全てを許してしまったと..?
 君は本気で今の生活に幸せを感じ生活を守ろうと..?
 、、、そうなんだな。」
「そう思って下さって構いません。」
「所詮 君にとって亮太と父さんは 他人に過ぎなかったと..
 俺は 君が俺に愚かな復讐をさせない為に
 自分の手を汚すつもりなのかもしれないと思った
 だから君を止めようと考えた
 だがそれは とんだ一人相撲だったようだな
 君が何をどう考えようが勝手だが
 その考えを押し付けられるのは迷惑だ
 そういう事なら 外科部長の件は断らせてもらう
 俺は俺のやり方で この件にかたをつけるつもりだ」退場恭介。

==恭介だけでも何とかしてこの復讐の連鎖から救い出したい
  しかしその事を口に出せない珠希の思いは
  恭介に届くはずもありませんでした。==

謙治の病室へ入る珠希。

「「あなたを助けたわけじゃない。
  あなたが罪を償いもしないのに楽に死なせるわけにはいかないの。
  あなたの命を奪うのは私の役目。」」

加賀見家寝室にて悟&珠希

「昨日は父さんの事本当にありがとう。
 身内の人間をオペするっていうのは簡単なことじゃないだろ?
 その人との歴史がある分、思いも複雑だ。」
「でも手術台に乗れば誰でも同じ..最善を尽くすだけ。」
「君は強いな〜。
 君は本当に過去も何もかも乗り越えたんだな〜。
 君がすべてを承知の上でこの家に入ったと知った時
 正直何か考えがあっての事なんじゃないかと勘ぐったこともあった。
 こんな俺を許してほしい。」

毎回悟はいいとこついてんだけどさ〜
途中で考えが変わるんだよな〜。

「悟さんは全てを知った上で私と結婚..
 むしろ感謝してるくらいよ。」
「珠希、、」と言って後ろから抱きしめ

「俺達の関係はこの先もずっと変わらない。
 そう思っていいんだな?」
「ええ。」
「それじゃ先に出かけるな。」と退場悟。

引き出しから最愛の彩へというタイトルのCDを取り出し
「ごめんなさい。悟さん。」と呟く珠希。

病室にて謙治&珠希

「お加減はいかがですか?」
「経過はすこぶる順調。全く問題なしだ。」
「何故警察に連絡させなかったんですか?」
「私は秀慶大の学長だ。表沙汰になってみろ、いらん腹を探られる。
 私を引きずりおろそうと天蚕糸ね引いて待ってる連中はごまんといる..
 検査入院と言うことにしておいてくれ。事故などそもそもなかったと。
 病院の見解を統一しておくように。」
「分かりました。」

そこへ映子登場。

「珠希さん、おかげでずいぶん良くなったみたい。」
「安心しました。一家の主に何かあっては大変ですからね。」退場珠希。

「一体誰なんです?こんな酷い事をしたの、、」
「全く知らん男だ。」
「よく思い出してみて下さい。どこかで会ってるかも、、」
「少し休ませてくれ。」と横になる謙治。
「私にだけは本当の事を教えていただけませんか?
 誰かを庇ってるんじゃ..?」
「諄いぞ。」

ガチャ 恭介入室。

「随分とお元気そうですね
 あなたはつくづく悪運の強い人だ
 執刀したのが珠希で幸いでした
 俺だったら 手術室であなたへの恨みを抑えきれたかどうか
 早期の回復を祈ってますよ あなたには 
 こんな所で弱ってもらっては困りますから」退場恭介。

なんだかんだいっても心配性の恭介。
休憩室にて珠希&映子。

「手術室に駆け付けた時、悟が言った..
 あなたに任せておけば安心だって。
 本当にいい夫婦になったわね。」
「お母さん達にはかないません。」
「そんな事もないのよ。
 あの人は私に何でも打ち明けてくれてると信じてたけど
 それは私の思い上がりだったのかも..
 人は会った事ない男だっていってたけど誰かを庇ってる。」

珠希、速攻仁の顔を思い出す。
つーか仁しかいないですよね、やりそうな奴って。

Club Meguにて恵&悟。

「あれから仁おじさんどうしてる?」
「全然来てない..どこで何をしているのやら。」
「そうか。」
「相当答えたみたいだから。」
「今回の事はハッキリ言ってショックだった。
 でも根は悪い人じゃないからこの先更生してくれればと思ってる。」

仁って何回更生すればいいんでしょうか?

「実は父さんが刺された。」
「何ですって??」とふと仁を思い出す恵。

「一体誰に?」
「父さんは知らない男だって言ってる。」
「そんな事があったなんて。」
「父さんの希望で警察にも連絡していない。
 表向きは検査入院って事に..
 父さんはこんな時まで学長っていう立場が気になって仕方ないんだ。」
「あの人らしいわね。」
「母さんも一度位顔を出してやってよ。きっと喜ぶと思う。」
「そうね。でも私は会いにいかない方がいいのかも..
 あの人のことは誰よりもよく分かってるつもりだった。
 だから映子さんと結婚しても全然負けた気がしなかったわ。
 でもね、最近段々とよく分からなくなってしまったのよ。
 謙治さんの事だけじゃないわ、あなたの為、彩の為、仁の為だと
 思ってやったきたことも本当に正しかったのか、、。」
「母さんがこれまでどれだけ俺達のために自分を犠牲にしてきたか
 一番良く分かってるつもりだからもう無理はしないで..」
「ありがとう、あなたは本当に心根の優しい子に育ってくれたわ。 
 知らせてくれてありがとう。」

優しいけど勤務先の病院で女を犯すような男ですよ??
私は未遂だと思ってますけど。

病院にてすれ違う恭介&珠希。
振り向く珠希、エレベーターに乗り込んだ恭介に向かい
「あなたはどうするつもり?」と呟く。
お前こそどうするつもりなんだよ!

奥村&珠希

「奥村さんに折り入ってお話ししたいことが、、」
「お話、聞かせていただくわ。」
「無理を承知で申し上げます。
 うちの病院の理事になって下さい。
 理事になって今後の加賀見病院にお力を..
 先生にうちの病院の後継人になっていただきたいんです。」
「そんな事できるわけないじゃない。
 だって私は、、、あなたの、、、」

===つづく====

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