「彩はもう大丈夫..彩に会ってあげて下さい。」
「悟が許さないだろう」
「お話ししたはず..彩から遠ざかるような事はしないでほしいって。」
「なぜ君は 俺がこの病院にいることに賛成してくれた?」
「私を庇って下さった借りをお返しするためです。」
「君は この11年間幸せだったのか?
 君は何故 悟と 結婚を」

そこへ「何をしてるんだ?」と悟登場。

速攻立ち去ろうとする珠希に

「話があるから院長室へ来てくれ。兄さんにも話がある。」

と恭介と会議室へ。

「もうこれ以上俺達家族に関わるのはやめて下さい。
 兄さんが向かうべき相手は父さんだろ?
 俺や珠希、彩を巻き込むのはやめてくれ。頼むよ。」ぺこり
「悟やめてくれ」
「俺は俺の家族を今の生活を守るためだったら
 いくらだって頭を下げる。」
「お前が 俺に頭を下げてまで守ろうとしている家族は
 珠希は本当に幸せなのか?
 お前はちゃんと珠希の事を守ってきたのか?」
「胸を張って答えることはできない。
 確かに俺は亮太を安楽死させたのは珠希だと知りながら
 今まで黙ってきた。亮太の遺書も見て見ぬ振りをしてきた。
 でもそれは俺の家族を珠希を守るためだったんだ。」
「それは事実から逃げてるだけだ」
「逃げていた事の何が悪い!
 真実を明らかにしたからって幸せになれるわけじゃない!」
「事実はやがて 必ず目の前に立ちはだかるという事がまだ分からないのか
 それにそんな事を言えるのは お前がただの 傍観者だったからだ
 殺された人間の悔しさを弔ってやれるのは家族の他に誰がいる
 殺された父さんの無念も 自殺した亮太の悔しさも
 自分の弟に手をかけなければならなかった彼女の苦しみも 
 俺は傍観者として見過ごすことができないんだよ!」
「でも珠希は過去の事を忘れるって、、
 彩がいるからだ。過去より大事なものが出来たんだよ。
 彩の為に彼女だって生きようとしているんだ。」
「もう二度と彩を連れまわしたりしない
 だが 加賀見謙治の事は 何があっても許す事は出来ない」

院長室にて悟を待つ珠希。
ゴミ箱に入ってる『DNA親子鑑定報告書の説明』を見つける。
悟登場。

「話っていうのは?」
「いや、この所君に酷い事を言い過ぎたと思って。
 彩があんな事になって動転してしまって。
 それでも冷静に兄さんを庇う君を見てつい感情的に..
 すまない。」
「そんな。」
「俺は兄さんを許すことが出来ない。
 でも俺達が兄さんの事で揉めていたら意味がないからな。」
「ええ。」

ゴミ箱を見つめる珠希。

彩の病室にて恭介、彩の手と自分の手を見比べる。

「おじさんの手、大きいね。
 でも彩も友達の中じゃ大きいんだよ。」
「そうか。じゃそれじゃ大人しく寝てるんだぞ。」
「うん。お母さんとお父さんって仕事で何かあったの?
 喧嘩してるみたいなの。」
「喧嘩なんてしてないよ。
 きっとお仕事が忙しいだけだよ」
「私ねおじさんになら何でも話せちゃう。不思議だね。」

微笑む恭介。

==彩はもしかしたら自分の子かもしれない。
  加賀見家に牙を向けていたその一方で恭介の心の中には
  迷いが生まれはじめていました。==

一条家にて映子。
携帯持ちながら

「「英夫さん?あなたへの罪滅ぼしに私に出来る事はもう
  恭介を守ることだけ。」」

と心で呟きどこかに電話する。

Club Meguにて奥村&恵。

「謙治さんの話が聞きたくて来たんじゃないの。
 私は院長代理のあなたの息子さんに興味があって来たのよ。」
「そうかしら?何かと加賀見病院にご興味がおありなのは
 昔の男に興味があるからかと思いました。(笑」
「私はただ私の命を救ってくれた加賀見先生が
 謙治さんを凄く恨んでいるようですし
 私も一度は関わってしまったあの病院を心配しているんです。
 お邪魔でしたら今日は」とプンプンして帰ろうとする奥村。
「お待ち下さい。
 いい機会ですから本当のことをお話ししますわ。
 謙治さんはあなたの青春時代の記憶にあるような人じゃありませんよ。
 懐かしいのは分かりますけど関わらない方があなたの為かと。」
「どういう事かしら?」
「失礼ですけど先生、政治家としての敏感な鼻は
 昔の男が相手だと鈍るタイプのようね。」
「そこまで言われるんだったら詳しく聞かせてくれるんでしょ?」

喫茶店にて謙治&映子。

「今日お会いしようと思ったのは恭介の事をお願いするため..
 恭介の事を許してやって下さい。
 病院にどうかおいてやって下さい。」ぺこり
「恭介はこれからも加賀見病院で勤めさせる。
 もう本人にもそう言ってある。
 恭介が私を恨むなら恨めばいい。
 私は恭介の恨みも君の恨みも真正面から受け止めるつもりだ。」

Club Meguにて奥村&恵。

「本当に謙治さんは珠希さんにそんな事を?」
「珠希は英夫さんの事も亮太さんの事も過去の事だから忘れるって。
 でもどこまで本音なのか。
 彩の為に我慢をしている所もあるんだと..
 私は息子のために謙治さんと別れてこの店を..
 息子の幸せが私の幸せです。
 奥村先生はお子さんはいらっしゃるんですか?」
「います。いますけど」
「だったら私の気持ち分かって下さいますでしょ?」

泣き出す奥村。

「ごめんなさい。珠希がそんな辛い人生を、、」
「今珠希って?もしかしたら珠希が先生の?」

涙をハンカチで拭きながら頷く奥村。

「そんなぁ、、」驚く恵。
「珠希は知ってるんですか?」

頷く奥村。

ホテルにて恭介&三枝。

「仕事の方はどうなの?」
「ああ このまま勤める事になった」
「そう。ねえやっぱりアメリカに戻らない?」
「アメリカに戻るつもりはない」

院長室にて恵&悟。

「この前、自分を愛してない人と結婚しても
 辛いだけかもしれないって弱気な事を言っていたけど
 その後珠希とはどうなの?」
「俺にも珠希が何を考えてるのか分からない事が増えてきた。
 全てを分かろうとしたら夫婦はやっていけないのかも..
 今まで色んな事実から目を反らしてきた自分が正しかったと思えないけど
 事実と向き合う事で何がおこるのか俺には恐いんだ。
 あっでも大丈夫だよ。心配しないで。」
「悟にしてみれば突然加賀見家に引き取られて
 恭介さんや亮太さん映子さんに気を遣って暮らしてきたんだもの。
 騒ぎになるような事には口を噤んでいた方がいいと思うようになったとしても
 仕方がないわ。母さんのせいね。」
「母さん、、。」
「謙治さんの事も整理がつかないんでしょ?
 これからあの家でやっていくのは大変ね。
 悟、もう謙治さんの事や加賀見家の事で苦しまなくてもいいわ。
 悟、聞いて。悟の本当の父親は謙治さんじゃないのよ。」
「どういう事だよ?」
「悟の本当の父親は別の人なの。
 謙治さんの前に付き合ってた人の子なの。」
「嘘だろ!?」
「本当よ。」
「そんな事..急に言われたって。。」
「ごめんなさい、でももう謙治さんの事や加賀見家の事を
 無理に背負い込まなくてもいいわ。
 私は加賀見家を出てもいいんじゃないかって今では思うの。」
「その人は、、その俺の本当の父親って人はどうしてるんだ?」
「...なっ亡くなったわ..
 10年くらい前に噂で聞いたわ。」
「そうか。でも母さんは俺を産む時は父さんの事を愛してたんだろ?そうだろ?
 自分の子を愛する人の子供として育てたかったんだろ?」
「ええ。」
「そう。おれちょっと出てくる。」とトボトボ退場悟。
ソファに倒れかかり「こうするしかないの、、。ごめんね。」と呟く恵。

彩の病室へ行く悟。

「お母さんは?」
「家に私のもの取りに行った。
 お父さん私いつ退院できるの?」
「もうすぐだよ。退院したらお母さんと旅行にでも行こうか?」
「本当??お父さん大好き!」と悟に抱きつく彩。

帰宅した悟。暗い表情で階段をあがってます。
寝室では亮太の山梨時代の家族絵を眺める珠希。

「もうすぐよ、亮太。力を貸して。」

そこへ悟登場。慌てる珠希。

「悟さん、どうしたんですか?」
「少し疲れたから戻ってきた。
 病院には兄さんがいるから大丈夫だ。
 それに君と話がしたかった。」
「何ですか?」
「親子ってなんだろうな。
 父親が違うと言われた。」

驚く珠希。

「今頃になって母さんに告白された。
 母さんは俺が加賀見家の息子になれば幸せになれると思って嘘を..
 その頃には父さんを愛していたって。
 自分の子を愛する人の息子にしたかったって。
 俺もその気持ちは分からなくはないよ。
 でも俺はその嘘を突き通してほしかった。
 だって俺達が親子として過ごしてきた時間はかわらないんだから。
 そう思うだろ?
 あんな父親だけど俺にとってはたった一人の父親なんだ。
 兄さんのように恨む気にもならない。」

珠希の手を握り

「俺は珠希と彩と三人で暮らしていければそれでいいんだ。
 俺と一緒にこの家を出よう。」

暫く悟を見つめ手をふりほどき

「お一人で出ていって下さい。
 私は加賀見家の加賀見病院に勤める悟さんと結婚した..」
「君は俺のことを少しも愛していないのか?
 俺が加賀見病院の息子だったから結婚したのか?」
「そうです。私はあなた自身じゃなくて
 あなたについてくる家柄や仕事、財産と結婚したんです。」
「嘘だ、、嘘だろ?何でそんな事をっ!!!」
「これが私の本音です。
 出て行くならお一人で出て行って下さい。」
「そうだよな、、俺達の結婚に最初から愛なんてなかったんだ、、
 これが君の体を無理矢理奪った俺の復讐か?
 だったら自業自得だな、、
 分かった、、出て行くよ、、でも彩は
 彩だけは絶対に渡さない!」
「待って下さい!
 彩は加賀見家の娘として育ててきたんです。」
「彩は俺の娘だ!」

暫く見合いトボトボ出ていく悟。
しかし!!何故かこの時ビュービューと強い音で風が吹き
カーテンが揺らめいております!

その風で山梨時代の家族絵が床に。
それを見つめる珠希。

「これでいいのよ。私は加賀見謙治を殺すんだから。」

ビュービュー

===つづく=====

コメント