「これはどういうこと..?いったい誰がこんなもの..」
「伊織さんの部屋にあったの。
 人目に触れないよう大事に引き出しの奥にしまって。」

それを伊織に何の断りもなく堂々と持ってくるフキなのである。

「紀保さんに関することは何から何まで調べてあるわ。
 紀保さんと伊織さんて本当はどういう関係?」

ジィーーーーッ(←フキの視線)

仕方なく心中話をする紀保。

「私がその事実を知ったのは去年の夏。
 でも伊織さんは子供の頃からそれを知ってて
 それでこうして私のことを調べてたのね。
 ..つまり伊織さんにとって私は父親を奪った憎い女の娘。
 フキさんが心配するようなことは何もないわ。」

スキス〜も合体もして伊織手作りの指輪も貰っちったけどね。

「伊織さんってどこか人を寄せつけない
 かたい殻のようなものを感じることがあったけど
 そういうことだったのね..」

今も十分かたい殻で覆われてる気がしますけど?

「おかげで彼の心を今まで以上に理解できた気がする。」

なにっ??今現在、伊織の一体何を理解できてるっていうんだ?フキ!
残念ながら何も....だよ?チ〜ン。

「でもお願いだから私が来たこと、伊織さんには言わないで。
 彼がいつか自分から話してくれるまで
 私は何も知らないことにしておきたいの。
 夫の秘密を知ってて知らないふりをするのも妻の愛情だと思うから。」
「(思いっきりテンション低めに)ええ。何も言わないって約束する。」

===

施設にて高広&伊織&みずえ。
高広が時々見舞いに来てたことを知り驚く伊織。

「これ、どうするの?」

と折りかけの鶴を高広に差し出すみずえ。

「貸してごらん。」と折り始める高広。

「君はまだ生まれる前だ。
 ラグビー部のOBチームでベルリンまで親善試合に行くことになってね
 伊久馬の発案でベルリンの壁に千羽鶴を飾ろうということになった。
 そこでみずえさんや私の妻も一緒になってせっせと鶴を折ったもんだ。」

フーーーーーーッッ!(鶴に空気を入れてる音)

出来た鶴を嬉しそうに眺めるみずえ。
ちなみにみずえの脚は歩けるが本人に歩く意志がないようです。

「それだけご主人を失ったショックが大きかったと言うことだね。
 二人を引き裂く原因になったのは私の妻.. 
 さぞ恨んでるだろうね。」
「恨んだことも憎んだこともありました。
 でも、いつまでも過去に捕われていては自分自身が前には進めない。
 そう気付いて忘れることにしました。過去の恨みも憎しみも、
 今は全て自分の生きる力にかえていこうと思っています。」
「それを聞いて伊久馬もきっと安心してるだろう。
 娘の話では君も結婚が決まったらしいね。
 どうか幸せになってほしい。」

伊織の手を握りしめ

「私にできる事があれば必ず力になると約束する。必ず..」
「ありがとうございます。」
「こうしてるとなんだか伊久馬と話してるようだ。
 今日は君に会えてよかった。」


===

春日クリーニング店前にて雄介&護。

「じゃあ春日さんとは明後日会えるんだ?」
「話は全部ついてる。あとは計画次第だが
 向こうはずいぶん金を欲しがってる。」
「こっちもそうグズグズしてられないからね。」
「俺の方もいつ雉牟田が絡んでくるか分かったもんじゃない。
 それまでに早いとこ稼がなくっちゃ。」

そこにフキ登場。

「よ〜フキちゃん。聞いたよ、結婚おめでとう。
 前祝いでもやろうって伊織にもそう伝えといてくれ。」
「ええ。」退場フキ。

雄介シラーーーーッ。

「なんてツラしてるんだ?
 惚れた女が幸せになろうってんだ。男なら喜んでやれ。」
「喜んでるよ。
 けど、どんな試合だって終わってみないと分からないからね。
 まだ諦めたわけじゃない。」

まだ諦めてなかったのか、雄介。

==

フキ、周囲を気にしながら夕顔荘の伊織の部屋に侵入。
急いで紙袋からスクラップブックを引き出しへ戻す。

「どうしたの?ここで何してる?」伊織登場。

「あっ!今日デパート行ったら秋のセーター売ってたから
 伊織さんにどうかなって思って..」

と紙袋からセーターを取り出してます。

「それより..ここの鍵、かけていったはずなんだけど?」

その内、フキに盗聴器でも仕掛けられそう。

「雄介さんに頼んで合鍵を作ってもらったの。
 だってお掃除とかお洗濯とか鍵があった方が何かと便利でしょ?」

プライバシーも何もないようです。恐いっス。最強っス。
しかもいつも空気のような存在の雄介をここで利用しております。

フキが去って、部屋をあちこちチェックする伊織。
赤いスクラップブックのある引き出しをチェック。
以前は表向きに入れてたのに裏返しになってることに気付き
フキが持ち出したことを確信する伊織。

伊織、すごい記憶力。フキはすごい行動力。

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翌日、工作所にてなにげに昨日のフキの行動をチェックする伊織。

「昨日セーターありがとう。
 他にどこにも行かなかったの?デパートだけ?」
「ええ。久しぶりのデパート、とっても楽しかったわ。
 屋上から地下まで目一杯楽しんじゃった。」

とそそくさと銀行へ向かったフキなのである。
そこへ柏木登場。みのりの件で思い出したことがあったようで

「みのりさんの遺書を見つけた時に..」

そこへフキを訪ねて杏子登場←柏木大興奮。
残念ながら柏木の話は持ち越し。

「昨日は私の留守にアトリエまでお見えになったようで..
 それで今日はレースのサンプルをお持ちしたんです。」

フキが昨日アトリエに行った事を知る伊織。

「こちらの方でお待ち下さい、さっ」

と嬉しそうに杏子を誘導する柏木。

===

アトリエにて紀保、伊織から電話で話があるから会いたいとのこと。
数日後、紀保の新居(荷物等はまだ搬入されておらずガラーーン)に伊織登場。

「いいところだな。都心にしては静かだし。」

どうもこの新居は『都心にしては静か』というのがウリらしい。

「それで話って?」

鞄からスクラップブックを取り出し紀保に見せる伊織。
紀保、パラパラと何の反応もせず見ております。

「あまり驚かないところを見るとやっぱ知ってるんだな。」

やっぱバレたじゃん。

「多分そうじゃないかと..
 だったら何もかも喋った方がいい、そう思ったんだ。
 龍一さんと結婚するなら尚のこと。」
「...そうね。(スクラップを見ながら)
 これじゃあまるで自分のプライバシーを覗かれてるようで
 あまりいい気持ちはしないわね。」

「...それは、死んだみのりのだ。」

驚く紀保。←つーか字を見て、女が書いたって気付よ!

「みのりは自分の生い立ちを知ってそれであんたに興味を持った。
 お互い同じ悲しみを抱え..。だがその人生は天と地ほど違う。
 かたや母親は亡くしたけれども立派な父親に愛され
 なに不自由なく育ったお嬢様。
 かたや親父が死んでおふくろは精神のバランスを崩し
 生まれてすぐに養子に出された孤児同然の自分。
 みのりはどうしても我慢できなかった。
 だからあんたのことを調べあげた。
 あんたと同じものを着て、同じものを持ち、同じ髪型にして
 同じレストランに行き、そして遂には顔のホクロまでとって
 見た目までも羽村紀保に似せようとした。」

『『こうしてると何だか似てるな〜』』と
加賀が紀保にホクロを書いたシーンを回想する紀保。

「そこまでしてみのりは、あんたになりたかったんだ。
 あんたを憎みながらもそれと同じぐらい強く惹かれて。
 本当なら自分も持てたかもしれない幸せな人生をあんたに重ねてた。」
「じゃあ龍一さんに近付いたのもそのため?
 あなたは知ってたの?そのこと?」
「あいつが診療所を辞めた頃から少しおかしいとは感じてた。
 だが龍一さんのことは妊娠したと気付くまで全く知らなかった。
 気付いた時にはもう遅かった。」

『『何すんの?出てって!大キッライ!』』
『『ああ、分かったよ!だけどな考え直すなら今のうちだぞ!
  お前きっと後悔するからな!』』
柏木が目撃したみのりvs伊織の喧嘩シーンの回想。

「みのりが死んだのはその翌日だ。
 これで分かったろ?あいつが死んだのは
 あいつの行動を止めきれなかった俺の責任だ。
 俺は結局、自分の妹を守ってやることができなかった。
 だからあんたと龍一さんには何の責任もない。」

紀保が持ってたスクラップブックを取り返し

「どうかこのことは、アイツの死に免じて許してやってほしい。
 この通りだ。90度ぺこり
 忙しいのに悪かったな。それじゃ。」
「待って!あなたはどうなの?
 みのりさんのように私のこと恨んでないの?憎んでないの?」
「今となっては恨んでもいないし憎んでもいない。
 お互いもう忘れよう。
 この部屋のように一度全て空っぽにして
 そこからまた新しく始めよう。お互い、それぞれの人生。」

伊織退場。←を目撃、杏子。

ポツーーーン紀保。

「お手伝いにきたんです♪」とルンルンパンツルックで杏子登場。

「伊織さんが来てたようですけど..何かありました?」
「(テンション低めで)知ってたの?」
「そこで姿を見かけて..紀保さんが呼んだんですか?」
「(引き続きテンション低めで)ええ。」
「でもどうしてわざわざこの部屋へ?」
「その方がいいと思って。
 私ももうじき龍一さんと結婚する。
 そのことをハッキリさせておいた方がいいと思って。
 彼だけでなく私自身にも。」
「そんな言い方をするなんて..やっぱり紀保さんは迷ってるんですね。
 龍一さんと結婚すべきかどうか..」
「違うわ!」
「本当は伊織さんのことが忘れられない..そうなんですね?
 わけを話して下さい、何もかも。」
「...彼...言ったわ。『この部屋のように全てを空っぽにしよう』って。
 今私を『恨んでもいない憎んでもいない、お互い忘れよう』って。
 でも忘れるぐらいならまだ恨まれてた方がいい、憎まれてた方がいい。
 そんな風に考えてる自分に気付いて..なんだか許せなくて。
 だって私、結婚するのよ?
 龍一さんと一緒に幸せになるって誓ったの!
 ...でもあの人の心から永遠に消えてしまう自分を想像するとたまらなく悲しくて..」

紀保に駆け寄る杏子。

「紀保さん...」
「こんなこと、もう言わない。これっきりにする。
 だから今だけ..少し泣かせて...」

と杏子にもたれ泣く紀保。
紀保の背中をサスサスする杏子。

「いいですとも!
 そういえば画家のマリーローランサンの詩の中にこんな一節があります。
 “死んだ女よりもっと哀れなのは忘れられた女だ”って。」

ストレートな詩に撃沈して泣く紀保

「でも紀保さんには私がいます!
 紀保さんの哀しみは私の痛み。
 私たちはどこまでも一心同体なんですから。」

と抱き合う二人なのであった。チャンチャン

こうみていくと杏子って本当に紀保にとって大切な存在だなって思う。
伊織と決別した日から一年間は杏子の支えのおかげでやってこれたわけだし
今回も杏子が紀保の哀しみを受け止めてくれてるし。
龍一って一体の役に立ってんの?弁護士としてだけ?

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部屋にて完成したフキの婚約指輪を磨く伊織。
赤いスクラップブックのア〜〜〜ップ!

====つづく====

犯人が誰か予想してみました。
また別記事で書こうと思います。

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